当店は現在(2020年8月)、都内の販売所やデパートの催事を中心にさば寿しと和菓子の販売をしており、今でこそたくさんのお客様にご愛顧いただいていますが、今から約8年前まで、私はさば寿しのことなどほとんど知らない、独立したての崖っぷち社長でした。
色々なビジネスにチャレンジするも上手く行かず、倒産寸前だった会社を救ってくれたのが、さば寿しとわらび餅でした。
当時の事業のひとつが、色々な食材を仕入れてイベント催事での販売。しかしどれも売れ行きはいまいち。
ただ、その中でコンスタントに売れていたのがさば寿しでした。
なぜ売れるのだろう?どんな歴史があり、全国にはどんな種類のさば寿しがあるのか。そこからさば寿しの勉強が始まりました。
学ぶほどにその歴史的背景や奥深さに魅力を感じ、惹きつけられ、気がつけば私自身が一番のさば寿しのファンになっていました。
もうひとつ、当店で売れていたのが京都の和菓子です。
これに注目した私は、さば寿しと和菓子をひとつのブランドとして売り出したらどうだろうと考えました。
それを可能にしてくれたのが現在の仕入元でもある京都の老舗和菓子屋の社長様との出会いです。
すでに京都の嵐山で人気の和菓子屋を経営していたその社長様のサポートにより、京都のさば寿しと和菓子を合わせたブランドとして一緒にやらせていただくことになり、「和泉家吉之助」として京都の嵯峨野小倉山に本店を構えることができました。
この出会いがなかったら今の和泉家吉之助はなかったかもしれません。
和菓子にピンと来たのは、もう一つ理由があります。
それは、私の祖父がかつて東京中野で和菓子屋を営んでいたことです。
子供の頃、祖父の和菓子屋にしょっちゅう遊びに行き、大好きなみたらし団子やところてんを食べ、黙々とあんこを練る祖父の姿を見て育ちました。
その体験が「さば寿し×和菓子」の発想のひとつにもなっています(詳しくはこちら)その和菓子屋の名は「和泉家」、祖父の名は「吉之助」。その名前をいただき、当店の屋号を「和泉家吉之助」に決めました。
さば寿しと和菓子の販売を始めて6年経った頃、予想もしなかった吉之助さば寿しの大拡散(ブレイク)が起こります。
それはある大きな会場で行われたイベントに出店させていただいた時のこと。
出展されていた人気の作家さんが当店のさば寿しをお召し上がりくださり、SNSにアップしてくれました。すると朝イチから行列ができて売り場前は大騒ぎ。最初は何が起こったのかわかりませんでした(笑)
それまで宣伝らしい宣伝はしたことがなかったのですが、どこで買えるんだという問い合わせも相次ぎ、急いで公式Twitterアカウント作ったところ、2日間で3500フォロワーがついてくれ、そのことはヤフーの検索ランキングトップ10にも入りました。
これもひとえにその影響力のある作家さん、話題にしてくれたファンの皆さまのおかげです。
正直シビれました。
また同時にさば寿しのさらなる可能性にも気づかされました。
さば寿しは日本の各地にありますが、ルーツは京都にあります。京料理として祭りなどの「晴れの日」に食されてきたものですが、こんなに美味しいさば寿しの魅力を知ってもらい、もっと手軽で日常的な食べ物にしたい、関西のお土産的な存在を関東圏、東日本でもポピュラーな食べ物にしたいと私たちは考えています。
そのために製法や販売方法に工夫を重ねコストダウンをはかり、手に取りやすい価格を実現しました。しかしクオリティは妥協していません。
始めから食べやすくカットしてあり、しょう油がなくても味がしっかりしているので、どこでもすぐに食べられるのも特長です。
目の前にあるものをただがむしゃらにやってきました。そこで偶然出会ったのがさば寿しであり和菓子です。
色々やってきましたが、ようやく自分の行くべき道を見つけた感じです。今がスタートライン、まだまだこれからです。
思えばいつも人に助けられ、支えられてきました。 最初の店舗を持たせて頂いた、さば寿し工場と和菓子屋の社長様達、知られるのきっかけを作ってくれた作家さん、和菓子の原体験を与えてくれた祖父、そして毎日販売に従事してくれているスタッフたち。 他にも多くの人に支えられて今日までやってこられました。人が結んでくれた縁で、今日の和泉家吉之助があります。
社名の「イーモーション」とは「エモーション」が由来。やっぱりどんな仕事も心が一番大事だと思います。 出会った仲間たちとどんどん大きくなっていく、それがこのやりがいでもあります。
吉之助のさば寿しも少し知っていただけるようになり、これまでご愛顧くださったお客さまに少しでも報いたいという思いから、現在都内での常設の販売所(店舗)を増やしています。
食べたいときにお求めいただける場所を増やしていきます。また、よりタイムリーに商品を提供できるよう都内に製造所の準備も進めています。
老舗のメーカー様に比べたらまだまだ至らないところだらけですが、先人の作ってきたものを大切にしつつ、自分たちだからこそできる吉之助らしいさば寿しと和菓子の広め方をこれからも追求していきたいと思います。